***CBI学会講演会のお知らせ***

 「in silico ADMET予測のフロンティア」

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開催趣旨
  計算科学やAI技術の進化は、薬物動態研究に革新的な進歩をもたらしています。本会では、PBPKモデル解析の最新アルゴリズムであるCluster Gauss-Newton Methodを用いた最新の解析事例を通じてその有用性を検証します。さらに、報告が急増しているAIを活用したPBPKシミュレーションや、トランスポーター構造に基づくインシリコ・シミュレーションの最新知見なども共有します。これらの技術が薬物動態分野のin silico研究をどう変えるのか、最新の動向を俯瞰する機会を提供いたします。

日時 2026年7月27日(月)13:00-17:40
場所 オンライン配信(Zoomウェビナー使用)
世話人 杉山 雄一(上海科技大学/株式会社ジェノメンブレン)、土谷 聡耀(慶應義塾大学)
連絡先: お問い合わせは、下記メールまたはTELにお願いいたします。

TEL: 03-6435-0458 (情報計算化学生物学会(CBI学会)事務局)

プログラム  

  1. 13:00 - 13:10 はじめに 

  2. 13:10 - 13:50
    「勾配計算不要のパラメータ推定法CGNMとその応用:GLP-1化合物の悪心モデルを例として」
    青木 康憲 (AstraZeneca)

    Cluster Gauss-Newton法(CGNM)は、PBPKモデルをはじめとする計算モデルにおけるパラメータ推定と不確実性定量化(UQ)を効率的に行う手法である。ランダムな初期値から複数の反復計算を効率的に実行することで、ブートストラップおよびプロファイル尤度に基づくUQを低計算コストで実現できる。本講演では特に、確率論的(非決定論的)モデルへのCGNMの応用を紹介する。この種のモデルでは局所勾配の解析的計算が不可能なため、古典的な勾配ベースの最適化手法は適用できない。具体例として、GLP-1受容体作動薬による悪心の確率論的モデルに対するパラメータ推定とUQを示し、用量最適化および安全性評価への応用可能性を実証する。

  3. 13:50 - 14:30
    「PBPKモデルを用いた非線形薬物動態解析」
    杉山 雄一(上海科技大学/株式会社ジェノメンブレン)

    PBPKの強みは、薬物動態をメカニズムに基づいて解析できる点にある。一方、臨床で得られるデータは血中濃度や尿・糞中排泄に限られ、組織内濃度の情報はほとんど得られない。しかし、DDIや非線形薬物動態に加え、in vitroの代謝・輸送・結合データを統合し、Middle-out解析を行うことで、Km、Vmax、PSdif、Ki、kinactなどの生化学的パラメータの推定が可能となってきた。特にCGNMの導入により、in vitroデータを活用したパラメータ同定の信頼性が大きく向上している。これらの成果を基に、腸管・肝臓における初回通過率やバイオアベイラビリティ、さらに肝・腎クリアランスや分布容積の予測手法を、投与量変動や疾患時の影響も考慮して開発している。当日は主に非線形薬物動態解析に焦点をあてて紹介したい。


  4. 14:30 - 15:10
    「CGNMを用いた薬物および標的リガンドの体内動態モデリングによる有効用量推定」
    土谷 聡耀 (慶應義塾大学)

    薬物と標的リガンドは受容体結合を競合することから、薬物濃度依存的なリガンド濃度変化を生理学的薬物速度論(PBPK)モデルで解析することで、各投与量における薬物の受容体占有率が推定可能となる。アンジオテンシンII受容体拮抗薬をモデル薬物とし、Cluster Gauss-Newton methodを用いたmiddle-out解析により、薬効情報を用いずに有効用量を推定する新たな手法を紹介する。

  5. <15:10 - 15:20 休憩>

  6. 15:20 - 16:00
    「薬物動態シミュレーションと生成AIを融合した化合物最適化」
    長谷川 清 (テクノプロ・R&D社)

    薬物設計において、化合物が標的タンパク質に対して高い結合親和性を示すだけでは十分ではない。同時に、その化合物の物理化学的性質を反映した最適な薬物動態を予測できることが重要である。化合物の化学構造式だけから薬物動態を予測できれば、創薬開発プロセス全体の効率を大きく高められる可能性がある。 この目的のために、本研究は2段階で進めた。まず、薬物動態シミュレーションに必要な化合物の物性値を、化学グラフ畳み込み法で化学構造式から推定した。シミュレーションから得られた代表値であるAUC, Cmaxと実測値との間に乖離があったので、その誤差分について再度、化学グラフ畳み込み法で学習して最終モデルとした。次に、得られた予測モデルを目的関数とした生成AIの適用を進めた。実際の創薬現場では、正確な薬物動態よりむしろコア構造に対するデザイン構造の順位づけが重要である。 本研究により、活性を維持した状態で、骨格固定の置換基を探索する化合物最適化が可能となる手法を提案できた。

  7. 16:00 - 16:40
    「化学言語モデルによる化合物構造の表現学習―ADMET予測を見据えた基盤理解ー」
    水野 忠快 (東京大学)

    我々は,化合物処理に対する生体応答を主題に,その応答を単なる観測値や表現型としてではなく,生体状態の変化として捉えることを目指している。生命科学データの背後にある生体状態を潜在構造として記述・理解するという立場から,潜在変数モデリングや表現学習に取り組んでいる。化合物構造の研究は,この枠組みにおいて,生体応答を駆動する側の表現学習と位置づけられる。近年注目される化学言語モデル(CLM)は,SMILESを入力として分子表現を学習し,ADMET予測を含む薬物動態研究への応用も期待されている。一方,分子表記は自然言語とは異なる構造を持ち,表記揺れによる交絡や,キラリティ情報の不安定な表現は,学習や評価を歪めうる。本講演では,SMILES表記の揺れがモデルの挙動に与える影響やCLMによる立体情報の扱いを概観し,薬物動態研究において深層学習を適切に活用するための視点と今後の展望を議論する。

  8. 16:40 - 17:20
    「AlphaFoldと分子シミュレーションの統合によるトランスポータータンパク質の構造変化ダイナミクス解明」
    岡崎 圭一 (分子科学研究所、総研大)

    トランスポータータンパク質は、細胞膜に存在して基質を細胞内外に輸送するタンパク質であるが、基質を輸送する際に構造変化をして、基質結合サイトを細胞膜内外に交互に露出させることで基質を輸送している。よって、内開き構造、外開き構造、さらにはそれらの中間体で基質結合サイトがどちら側からもアクセスできない閉塞構造があり得る。実験的にこれら全ての構造状態を原子レベルで決定するのは困難であるし、構造変化ダイナミクスもよく分かっていない。本講演では、構造予測AIであるAlphaFoldと分子動力学(MD)シミュレーションを組み合わせることで、未知構造状態の予測や構造変化の自由エネルギー(平衡分布)や時定数を解明するアプローチについてお話ししたい。

  9. 17:20 - 17:40 総合討論


講演会参加費
(種別) (料金)
法人会員 無料
一般 個人会員A 無料
個人会員B ¥3,000
非会員(一般) ¥10,000
学生 学生会員 無料
非会員(学生) ¥1,000

キャンセルの場合、2026年7月20日(月)までにご連絡いただければ手数料を差し引いて返金します。
それ以降は講演会参加費のキャンセル返金はできません。
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参加申込み 
4月20日(月)より受付を開始いたします。
お問い合わせ
◆情報計算化学生物学会(CBI学会)事務局
  
   TEL:03-6435-0458